椎月アサミ『V系バンドの王子様が実は学園一の美少女お嬢様なのは秘密にしてくれ』

中学校の頃、クラスの女の子たちがX JapanやLUNA SEAに夢中になっていたのを遠巻きになってみていたのをよく覚えています。そのようなヴィジュアル系バンドを美少女がやっていたら……、そりゃメンバーに入りたいってもんじゃないですか!

(以下、ネタバレ感想を含むために格納)

第1巻:王子様の隠された秘密は……

幼いころに音楽が好きだった父を亡くし、現在はヴィジュアル系バンドが大好きな妹・カノンと研究で多忙な母の3人暮らしで有名高校に通う七音空詩(ななとそなた)は、どのような楽器を弾きこなせる才能がありながらも、幼いころの経験が原因で音楽が苦手となった。

家事と勉強に没頭している日々を過ごしていた空詩だったが、ヴィジュアル系バンド・RosenkreutsのVo.兼Gt.の緋萌(ヒメ)を家に連れ込んだこと、その正体が学園一の美少女である百合園萌々(ゆりぞのもも)であることが分かったこと)、そしてRosenkreutsのメンバーが同じ学園の生徒たちだったことがきっかけで、再び音楽にかかわることになった。

萌々と羽月(鈴森羽月。Rosenkreutsではベース担当の月涙(ルナ))、そして舞(桜川舞。バンドではドラム担当の舞桜(マオ))の3人にかかわっていく空詩だったが、萌々のさらなる隠された秘密に触れたときに、対バンに間に合わない事態になり……。

超絶美少女とヴィジュアル系の違和感がむちゃくちゃたまらない。過激な歌詞を学園一の美少女でお嬢様な連中がやりこなすって信じられるか? というと、俺は信じられんわ……。

最後のほうでは萌々の母親の秘密も明らかに。細かいことを書くとネタバレになるのですが、「血は争えない」ということでご勘弁を。

第2巻:アイドルとV系、意外な接点は……?

対バンライブに無事参加でき、このことをきっかけとしてRosenkreutsに空音として加入することになった空詩だったが、そこに新たな危機が! 空詩は羽月の幼馴染で、人気アイドルのメイミとして売り出している宝条鳴美からバンドを抜けて専属ギタリストとなるようにと誘われてしまう。もしその話を断るなら、羽月の秘密をばらすとまで言われてーー。その話を断る空詩だったが、これが巡り巡ってRosenkreuts2番目の危機になろうとは思いもしなかったーー。

今回は羽月と鳴美の間の過去の話がメイン。二人の過去に何がったのか、そして二人の音楽に対する思いがメインとして描かれています。……ってか、先にこちらを全部読み切ったという、ね……。

超絶美少女とV系のギャップがたまらない!

この作品を言い表すとしたら「超絶美少女がV系バンドで激しくも苛烈な音楽を演奏するギャップがたまらない」のと、その裏に隠されている彼女たちそれぞれの苦悩がきっちり描かれているということでしょう。

萌々はまぎれもない母親の血が流れていて、そして羽月は幼馴染がアイドルとして頑張っていて……。メンバーそれぞれの苦悩から生み出される曲は、彼女たちの魂の叫びそのもの。お嬢様として育った彼女たちの苦悩がにじみ出ているんだろうなぁ、きっと。

……って、舌足らずですが、類を見ない音楽系ラノベなので、気になる人はぜひ。