山本直樹『レッド 最終章 あさま山荘の10日間』

革命を目指した若者たちの青春、ここに終わる。

山岳ベースでの凄惨な内ゲバ、相次ぐ逃亡者、そして北と赤城をはじめとしたメンバーの逮捕で、赤色連盟は壊滅一歩手前に陥った。一歩間違えれば内ゲバの犠牲者になりかねなかった岩木の発案で山を越えて、一行は長野県の軽井沢に辿り着いたのだが、持っていた地図が古かったためか、そこは避暑地となっていた。

岩木はさらに逃亡を重ねようとするが、その途中でほかのメンバーと一緒に逮捕される。そして、残されたメンバーはあさま山荘に立てこもり、管理人の妻を人質にして最後の抵抗を試みる……。

マルクス、レーニン、そして毛沢東の思想に触発され、当時の政権を打倒して自らの理想とする社会を打ち立てようと武器を取った若者たち。仲間の一人が警察官に射殺されたのが発端となり、彼の敵を取らんとするために武器を奪い国家権力に対抗しようとするも、印旛沼の事件を境に道を間違え、山岳ベースでは「統括」の名目で自分たちの仲間を殺め、最後は昭和史に残る大事件となったあさま山荘事件を起こし……。

あさま事件から40年以上経ったが、その後のオウム事件や学校でのいじめを見ると、われわれ日本人の抱えている集団心理の問題は40年以上前から全く変わっていないとさえ感じてしまう。特に山岳ベースの凄惨なリンチ殺人は、現在の学校におけるいじめの問題と大きく重なるように思えてならない。

あとがきでは岩木のモデルとなった植垣さんが、「『レッド』が完結した今、これ以上の作品を出していくことはほとんど不可能に近いと思われる」と前置きをしつつ、「私にとっては、むしろ完結したところから革命の問題を正面から追及していく斗(たたか)いが始まったわけで、それを記録として残していく作業をやり抜くことが、山本さんの努力に応えていくものになると思う」とのコメントを残しています。植垣さんには是非、『レッド』を超えるものを出していただければと……。

『レッド』シリーズ未読の人は、これを読んだら『レッド 1969~1972』と『レッド 最後の60日 そしてあさま山荘へ』をセットで読んで、なぜあさま山荘に立てこもったのかを是非読んでみるといいでしょう。仲間の仇を取ろうとして、結局返り討ちに遭う彼らの最期は必読です。

漫画

Posted by 蒼月未来